結論からお伝えすると、駐車場の奥にリビングや庭がある家では、車を目隠しとして考えず、車がない状態を基準に視線を遮る位置を決めることが重要です。
道路から駐車場、庭、掃き出し窓、リビングへと視線が一直線に抜ける場合は、目隠しフェンスや壁だけを単独で設置するのではなく、ウッドデッキ・タイルテラス・植栽を一体で計画します。そうすることで、外からは室内を見せず、室内からは緑のある庭を楽しめる「外の部屋」をつくれます。
- 車が出ている時間もリビングを見せない
- 小さな庭でも、目隠し・過ごす場所・植栽を両立する
- 道路側だけでなく、リビングから見た景色も整える
NEWSでは、駐車場・アプローチ・庭・植栽・目隠しを別々の部品としてではなく、建築と暮らしをつなぐ外部空間として設計します。基本となる考え方は、外構デザイン・設計の考え方|NEWSが大切にしているアウテリアの思想で詳しくご紹介しています。
駐車場の奥にリビングがある家で起こりやすい問題
新築住宅の外構計画でよくあるのが、南側に駐車場を設け、その奥に庭とリビングの掃き出し窓が並ぶ間取りです。
道路 → 駐車場 → 庭 → リビング
この配置は、車から庭へ荷物を運びやすく、アウトドア用品や子どもの遊び道具を出し入れしやすいというメリットがあります。一方、車を停めているときは気にならなくても、車で出かけると道路から庭や室内まで見えてしまうことがあります。
外構の打ち合わせや現地確認の際に車が停まっていると、車そのものが視線を遮るため、問題に気づきにくいことがあります。しかし、実際の暮らしでは車がない時間もあります。カーテンを開けて暮らしたい場合は、車がない状態で道路から掃き出し窓、ソファ、ダイニングまでどのように見えるかを確認する必要があります。
目隠し計画の結論|車ではなく外構でプライバシーをつくる
駐車場の奥にリビングがある家では、次の5点を車がない状態で確認します。
- 道路からリビングまで、どの方向に視線が入るか
- どの位置で遮れば室内が見えなくなるか
- 目隠しを設けても庭や動線を確保できるか
- 室内から見たときに圧迫感が出ないか
- フェンスや壁の前後に植栽スペースを残せるか
敷地に余裕があれば、駐車場と庭の間に植栽帯を設け、目隠しフェンスや壁と組み合わせます。敷地が限られている場合は、目隠し・テラス・植栽を別々に配置するのではなく、ひとつの庭空間としてまとめて考えることが大切です。
実際に、福岡県糟屋郡宇美町N様邸の新築外構では、リビング前に予定されていた駐車場の配置を見直し、道路側へ車を寄せることで庭とタイルテラスを確保しました。建物色に合わせた目隠しの塗り壁と植栽を組み合わせ、道路からの視線をやわらげながら、室内から緑を楽しめる構成にしています。
方法1|ウッドフェンスとウッドデッキで「外の部屋」をつくる
庭の奥行きが限られている場合は、リビングの掃き出し窓からウッドデッキへ出られるようにし、その外側へ目隠しとなるウッドフェンスを設ける方法があります。
リビング → ウッドデッキ → 植栽 → 目隠しフェンス → 駐車場
単に敷地境界へ高いフェンスを立てるのではなく、リビングから見た庭の広さ、フェンスまでの距離、植栽が入る余白を同時に考えます。目隠しによって道路からの視線を遮ることで、カーテンを開けやすくなり、ウッドデッキも日常的に使いやすくなります。
福岡県筑紫野市O様邸の施工例では、南側の駐車スペースとリビング前の庭を両立するため、ウッドデッキ・木製フェンス・植栽を一体で計画しました。高いフェンスだけで囲わず、植物を重ねることで、圧迫感を抑えたプライベート空間をつくっています。
方法2|目隠しの前に植栽を入れ、緑のバッファーをつくる
目隠しフェンスだけを設置すると、道路側から見たときに構造物が目立ち、室内からも壁やフェンスの存在感が強くなることがあります。そこで、確保できる範囲で駐車場と目隠しの間、または目隠しとテラスの間に植栽を入れます。
道路 → 駐車場 → 植栽 → 目隠し → 庭 → リビング
植物が緑のバッファーとなり、フェンスや壁の硬さをやわらげます。室内から見たときにも枝葉が重なることで庭に奥行きが生まれ、目隠しを「見えなくする構造物」ではなく、庭の景色の一部として整えられます。
方法3|目隠し壁・タイルテラス・植栽を一体で考える
リビング前にタイルテラスをつくり、その外側へ目隠し壁を設ける方法もあります。ただし、タイルテラスのすぐ先が壁になると、室内から見たときに壁の存在感が強くなり、庭が無機質に感じられることがあります。
リビング → タイルテラス → 植栽 → 目隠し壁 → 駐車場
タイルテラスと目隠し壁の間に植栽スペースを設けると、室内から見えるのは壁だけではなく、植物の枝や葉が重なった景色になります。外から見ても、壁と植栽が重なることで建物の外観がやわらぎます。
狭い庭ほど、目隠し・テラス・植栽を別々につくらない
駐車台数を確保すると、庭の奥行きが限られることがあります。その中で「デッキはここ」「目隠しはここ」「植栽はここ」と独立して考えると、要素が増え、かえって庭が狭く感じられます。
目隠し壁の足元を植栽スペースとして使ったり、タイルテラスの一部を切り欠いて植物を植えたりすると、庭の面積を大きく減らさずに緑を取り入れられます。狭い庭では、何を置くか以上に、「隠す・過ごす・眺める」という役割をどう重ねるかが重要です。
道路側だけでなく、リビング側から目隠しを考える
道路から完全に見えなくなっても、室内から大きな壁しか見えなければ、心地よい庭にはなりません。実際に長い時間その景色を見るのは、リビングで暮らす人です。
目隠しの高さと位置だけでなく、壁やフェンスまでの距離、植物を入れる位置、樹木の高さ、テラスとの関係、ソファやダイニングから見える景色まで一緒に考えます。
外からの視線を遮りながら、室内からは庭を楽しめる。この両方を成立させることが、リビング前の目隠し計画では大切です。
車を移動し、道路から視線を確認する
計画前には車を移動し、道路を歩く人の目線から「庭のどこまで見えるか」「掃き出し窓が見えるか」「ソファやダイニングまで見えるか」を確認してください。
必ずしも駐車場と庭の境界すべてを高いフェンスで囲う必要はありません。道路からリビングへ向かう視線が通る場所を見つけ、必要な部分を壁・フェンス・植栽で遮ることで、圧迫感を抑えながらプライバシーを確保できる場合があります。
駐車場の奥の庭は「余ったスペース」ではない
駐車場を確保した結果、その奥に残った場所を庭にすると、庭は「余ったスペース」になりがちです。しかし、リビングから毎日見える場所は、住まいにとって重要な外部空間です。
- 目隠しで道路からの視線を整理する
- テラスやデッキで過ごせる場所をつくる
- 植栽によって室内から眺める景色をつくる
この3つを一緒に考えることで、駐車場の奥にある小さな庭でも、リビングからつながる「もうひとつの部屋」のような空間にできます。
まとめ|車ではなく、外構でリビングのプライバシーをつくる
駐車場の奥にリビングや庭がある住宅では、車が停まっている状態だけで目隠しを判断しないことが大切です。車がない状態でも、道路から駐車場、庭、リビングへ向かう視線を適切な位置で遮ります。
そのうえで、目隠しフェンスや壁だけを設置するのではなく、ウッドデッキ・タイルテラス・植栽を組み合わせます。敷地が狭いから庭を諦めるのではなく、限られた面積の中で、目隠し・過ごす場所・植物を一体で設計することが重要です。
NEWSの外構・庭づくりに共通する設計思想については、外構デザイン・設計の考え方|NEWSが大切にしているアウテリアの思想もあわせてご覧ください。
よくある質問
駐車場の奥にリビングがある場合、目隠しは必要ですか?
道路から駐車場越しに庭やリビングが見える場合は、目隠しを検討した方が暮らしやすくなります。特に、車がない状態で道路から掃き出し窓まで視線が通るかを確認してください。
車があるので、目隠しフェンスはなくても大丈夫ですか?
車は常に駐車されているとは限らないため、車を目隠しとして考えることはおすすめしません。車がない状態を基準に計画すると、日常的なプライバシーを確保しやすくなります。
狭い庭でも目隠しと植栽を両立できますか?
可能です。目隠し壁の足元やタイルテラスの一部を植栽スペースとして利用し、目隠し・テラス・植栽の役割を重ねることで、限られた庭にも緑を取り入れられます。
ウッドフェンスと目隠し壁はどちらがおすすめですか?
庭の広さ、建物のデザイン、必要な目隠しの高さによって変わります。ウッドフェンスはやわらかな印象をつくりやすく、塗り壁は建物と一体的なデザインにしやすい特徴があります。どちらも植栽と組み合わせることで圧迫感をやわらげられます。
駐車場と庭の間をすべて目隠しした方がよいですか?
必ずしも全面を隠す必要はありません。道路からリビングへ向かう視線を確認し、必要な場所を中心に遮ることで、開放感を残しながらプライバシーを確保できる場合があります。












