「建物と敷地境界の間が1〜2メートルしかない」「これほど狭い場所に庭をつくっても、使い道がないのでは?」
新築外構や庭づくりのご相談では、このようなお悩みをよく伺います。
結論から言えば、幅1メートルほどの限られた場所でも、設計を工夫すれば庭として活用することはできます。
広い芝生の庭や大きなテラスをつくることは難しいかもしれません。しかし、室内から緑を眺めたり、窓を開けて光や風を感じたり、少し外に出て過ごしたりする場所として考えれば、1メートルという幅は決して何もできない寸法ではありません。
狭い庭を広く見せるために大切なのは、単純に物を減らすことではなく、室内と庭のつながり、床の高さ、視線の抜け、壁の見え方、植物の配置を一体で考えることです。

狭い庭を広く見せる3つのポイント
狭い庭を広く、使いやすく見せるための主なポイントは、次の3つです。
- 室内と庭の床の高さを近づける
- 壁やフェンスで視線と背景を整える
- 植物を使って奥行きと距離感をつくる
庭の面積そのものを変えることはできません。しかし、室内からの見え方や外への出やすさを整えることで、実際の面積以上に広がりを感じられる空間をつくることはできます。
1. 室内と庭の床の高さを近づける
狭い庭を活用するうえで、最初に考えたいのが室内と屋外の床の高さです。
建物の床と庭の地面に大きな段差があると、庭が室内から切り離された場所に見えてしまいます。また、外に出るたびに何段もの階段を下りる必要があれば、日常的に庭を使う機会も少なくなります。
そこで、ウッドデッキやタイルテラスなどを設け、庭側の床を室内の床に近づけます。室内とまったく同じ高さまで上げられない場合でも、室内の床から20センチ程度下げた高さ、つまり階段1段分ほどの段差に抑えることで、外への出やすさは大きく変わります。
床の高さを近づけることで、室内から庭へ出やすくなり、窓の内側と外側が連続して見えます。小さな庭でも、リビングの延長として感じられるようになります。

2. 壁やフェンスで視線と背景を整える
庭の奥に壁をつくると、かえって狭く見えるのではないかと思われるかもしれません。
しかし、適切な高さと位置で壁やフェンスを設けると、周囲の余計な情報が整理され、庭がひとつの落ち着いた空間として見えるようになります。
隣家の基礎や配管、室外機、物置、道路上の車などがそのまま見えていると、視線が庭の外へ散らばり、空間が雑然として感じられます。壁やフェンスによって見せたくないものを隠し、庭の中に視線をとどめることで、狭い場所でも落ち着きと奥行きが生まれます。
腰の高さ程度の壁で上部に抜けをつくる
周囲からの視線を完全に遮る必要がない場所では、高さ1,200〜1,400ミリ程度の壁を設ける方法があります。この高さであれば、足元や庭の内部は適度に守りながら、壁の上には空や光が見える余白を残せます。
必要な場所だけ目隠しする
隣家の窓や通路が近い場合は、室内から庭を見たときの視線の高さを確認し、必要な位置まで目隠しを設けます。単純に敷地全体を高いフェンスで囲うのではなく、どこから何が見えるのかを確認して高さを決めることが大切です。
素材の見え方も大切にする
狭い庭では、壁やフェンスが室内から近い位置に見えます。そのため、価格や機能だけでなく、素材の質感や板の幅、隙間、色、縦横のラインまで考えることが大切です。木製フェンスやスクリーンブロックを使うと、視線を整えながら光や風を残しやすくなります。

3. 植物を入れて奥行きと距離感をつくる
植物を植えると、その分だけ使える床面積は狭くなります。そのため、狭い庭には植物を入れないほうがよいと思われることがあります。
しかし、室内からの見え方を考えると、植物は狭い庭にこそ必要な要素です。
床と壁だけで構成された空間は、すっきりとは見えますが、見るものが少ないため距離感をつかみにくく、平面的に感じられることがあります。そこに植物が加わると、手前の葉、枝の重なり、奥の壁というように、景色に複数の層が生まれます。
この重なりが、限られた空間に奥行きを感じさせます。
狭い庭では植物をたくさん植える必要はない
狭い庭に、無理に多くの植物を詰め込む必要はありません。窓から正面に見える位置へ樹木を1本植える、庭の角に植物をまとめる、壁際に細長い植栽帯を設けるだけでも景色は大きく変わります。
重要なのは植物の本数ではなく、室内のどこから、どの植物が、どのように見えるかです。
窓を一枚の絵として考える
狭い庭を計画するときは、庭側からだけでなく、室内から窓越しに見た状態を確認します。
窓を一枚の額縁として考え、その中に樹木、下草、壁、床がどのようなバランスで収まるかを考えると、限られた空間でも美しい景色をつくることができます。
高木を一本植えるだけでも、枝葉が窓の上部まで広がれば、視線が上下に動きます。低木や下草を足元に配置すれば、手前から奥への重なりが生まれます。

狭い庭では床・壁・植物を別々に考えない
狭い庭を計画する際は、床、壁、フェンス、植物を個別に決めるのではなく、ひとつの景色として考えることが大切です。
室内から庭を見たときに、手前に室内の床があり、その先に高さを近づけたテラスがあり、テラスの端に植物があり、植物の奥に落ち着いた壁がある。この手前・中間・奥という重なりが、狭い庭を広く見せるための重要な考え方です。
狭い庭で避けたい設計
背の高い壁で全体を囲いすぎる
庭のすべてを高い壁やフェンスで囲うと、光や風が入りにくくなり、圧迫感が出る場合があります。目隠しが必要な方向と高さを確認し、必要な部分を重点的に遮ることが大切です。
多くの素材を使いすぎる
狭い空間にタイル、石、砂利、レンガ、木材などを細かく使い分けると、景色が分断され、かえって狭く見えることがあります。床材や壁材の種類を絞り、室内や建物とのつながりを意識すると、空間がまとまりやすくなります。
植物を均等に並べる
限られた場所に植物を等間隔で並べると、通路のような印象が強くなります。庭の角や窓から見える位置にまとめたほうが、自然な奥行きが生まれます。
幅1メートルの庭には何ができる?
幅1メートル程度のスペースでは、大きなテーブルを置いたり、複数人で過ごしたりすることは難しいかもしれません。
それでも、室内から植物を眺める坪庭、光や風を取り込む小さな中庭、外の縁側のようなウッドデッキ、窓辺に季節の景色をつくる植栽スペースとして活用できます。
大切なのは、広い庭と同じ使い方を求めないことです。その場所の幅や形、窓の位置、日当たり、隣家との関係を確認し、限られた条件のなかでできることを見つけます。

よくある質問
幅1メートルでも庭をつくる意味はありますか?
あります。人が長時間過ごすための庭としては限界がありますが、室内から緑を眺めたり、光や風を取り込んだりする場所として活用できます。
狭い庭にはウッドデッキとタイルテラスのどちらが向いていますか?
どちらも設置できます。室内との一体感や素材のやわらかさを重視する場合はウッドデッキ、清掃性や耐久性を重視する場合はタイルテラスが選択肢になります。
狭い庭に植物を植えると、さらに狭くなりませんか?
床面積は小さくなりますが、植物によって景色に前後の重なりが生まれるため、室内からは奥行きを感じやすくなります。
壁をつくると圧迫感が出ませんか?
高さや素材、設置位置によって変わります。高さを抑えて上部を開放したり、木製フェンスやスクリーンブロックを使ったりすると、視線を整えながら光や風を残せます。
狭い庭を広く見せるために最も大切なことは何ですか?
室内と庭を別々に考えないことです。床の高さを近づけ、窓から見える正面に景色をつくり、必要な視線を壁やフェンスで整えることで、庭が室内の延長として感じられるようになります。
まとめ|狭い庭は面積ではなく、つながりで考える
狭い庭でも、設計を工夫すれば実際の面積以上の広がりを感じられる空間にできます。
ポイントは、室内と庭の床の高さを近づけること、壁やフェンスで視線と背景を整えること、植物によって奥行きと景色の重なりをつくることです。
庭が狭いからといって、何も使わないデッドスペースにしてしまうのは、あまりにももったいないことです。幅1メートルほどの場所でも、室内から緑を眺め、光や風、季節の移り変わりを感じる場所にはできます。
ニューズでは、建物の窓や床、周囲の景色、そこでどのように過ごしたいかまで含めて、限られた外部空間を心地よい庭として整えるご提案を行っています。











